Bekesyの自記オージオメトリーって…
迷える学生さんからの質問!
Bekesyの自記オージオメトリーって、持続音と断続音で検査して、ああいう分類(Jerger分類)をするんですけど、そもそも持続音と断続音でなんでそんな差が出ちゃうんですか?例えば、なんで後迷路性だと閾値が上昇することになるのでしょうか?よろしくお願いします。
自記オージオメトリについて、詳細は末尾の参考文献にも挙げています村井和夫氏の論文『自記オージオメトリ』をどうぞ。以下に概要のみ引用。
概要:
1947年、Bekesyによって考案製作された自記オージオメータ(Self-recording audiometer)は、Bekesy型オージオメータとも呼ばれ、臨床または聴覚生理研究の分野で広く利用され、臨床検査法として確立し今日に至っている。
本検査法の特徴は検査音を被験者に聞かせながら閾値を自動的に測定できることであり、また記録された鋸歯状の波形および振幅などから補充現象の有無の測定あるいは感音難聴の細別診断に極めて有力な情報を与えてくれる。
西岡
とてもいい疑問を持ちますねー。
一過性閾値上昇が持続音で生じる理由ですが、結論から申すといまだにその理由は解明されていません。詳しくは村井氏の論文を参照いただきたいですが、その5ページの「一過性閾値上昇」の項目をみていただけると・・・
「この現象の出現の機構は音を聞き続ける能力の障害であろうと考えられているが、後迷路性感覚経路のどの部位がどのような病変によってこの現象が起こるかについては未だにわかっていない」
・・・とのことです。人によっては断続音でも一過性閾値上昇が起こる方もいるみたいですね。
僕が自記オージオについてお伝えするときはイメージとして、断続音のように定期的に刺激がくるような音は刺激の度に反応が促されるけども持続音のように同じ刺激がずっと続くと聴こえているのか聞こえていないのかわからなくなってくると説明します。
同じトーンでずっと話し続ける人の話は眠たくなりませんか?それと似たイメージですね。神経や中枢にダメージがある人だとそれが起こりやすいわけですね。
【参考文献】
村井和夫 自記オージオメトリ:Audiology Japan 50, 165. 173, 2007
https://www.jstage.jst.go.jp/article/audiology1968/50/3/50_3_165/_pdf